初心者向け!投資信託ガイド 新興国投資と税金のギモンを解消!

投資信託とは

「投資」と聞くと、なんだか難しそう、大金が必要そう…と感じる方も多いのではないでしょうか。でも、ご安心ください。「投資信託(とうししんたく)」は、私たち一般の個人が手軽に始められる、とても便利な仕組みです。

投資信託の仕組み

投資信託は、簡単に言えば「プロにお金を預けて運用してもらう仕組み」です。

  1. みんなでお金を出し合う

たくさんの投資家から集めたお金を一つにまとめます。

  1. プロが運用する:

運用会社のプロ(ファンドマネージャー)が、集めた資金を使って、国内外の株や債券などに投資します。

  1. 利益を分配する:

運用で得られた利益は、投資額(出資額)に応じて私たち投資家に分配されます。

よって、自分でどの株を買うか悩んだり、市場を常にチェックしたりする必要はありません。少額(たとえば月100円や1,000円から)で、分散投資の効果も得られるのが大きなメリットです。

投資先の選び方:先進国と新興国

投資信託の運用先はさまざまですが、大きく分けて「先進国」と「新興国」の資産に投資するタイプがあります。

先進国向け投資

  • 特徴: アメリカ、日本、ヨーロッパなど、経済が成熟した国々への投資です。
  • メリット: 経済基盤が安定しているため、比較的リスクが低いとされています。
  • デメリット: 成長が緩やかなため、大きなリターン(収益)は期待しにくい傾向があります。

 新興国向け投資

  • 特徴: ブラジル、インド、中国、東南アジア諸国など、急速な経済成長を遂げている国々への投資です。
  • メリット: 高い成長性が期待できるため、将来的に大きなリターンを得られる可能性があります。
  • デメリット: 経済や政治の情勢が不安定になりやすく、先進国投資に比べて価格の変動(リスク)が大きい傾向があります。

初心者のうちは、まずは先進国に投資するファンドをメインにしつつ、資産の一部(例えば全体の10%〜20%など)を新興国ファンドに充てる、といったバランスの取り方もおすすめです。

新興国投資と税金の取り扱い

投資で利益が出た場合、「税金」の取り扱いが非常に重要になります。特に新興国投資の場合、海外と日本の両方で課税される可能性があるため、しっかり理解しておきましょう。

1,国内(日本)での課税

投資信託を売却して利益が出た場合(譲渡益)や、運用で得られた収益の分配金(普通分配金)には、原則として約20%の税金がかかります。

利益の種類税率(合計)
譲渡益(売却益)所得税 15% + 住民税 5% + 復興特別所得税 0.315% = 20.315%
普通分配金所得税 15% + 住民税 5% + 復興特別所得税 0.315% = 20.315%

これらの税金は、通常、証券会社が利益から自動的に差し引いて納税する「源泉徴収」という形で行われます。

2,海外で課税される「二重課税」とは?

新興国を含む海外の資産に投資する場合、現地国で税金が引かれてから、日本の証券口座に分配金が送金されることがあります。これを「外国源泉徴収」といいます。

さらに、その分配金が日本の証券会社を通じて私たちに支払われる際、日本の税金(約20%)が再度引かれます。この状態を「二重課税」と呼びます。

具体例 新興国の企業から配当金が100発生 → 現地で10(10%)が課税 → 日本の証券口座に90が入金 → 日本で90に対し約20%(18)が課税 → 最終的に手元に残るのは72。

3,二重課税を解消する制度:「外国税額控除」

二重課税の負担を軽減し、公平を期すために、「外国税額控除」という制度が設けられています。

これは、確定申告を行うことで、海外で支払った税金の一部を、日本の所得税や住民税から差し引くことができる制度です。

控除の適用を受けるためには、原則として、ご自身で税務署に確定申告を行う必要があります。源泉徴収で自動的に税金が引かれている特定口座(源泉徴収あり)を利用している方でも、この控除を受ける場合は確定申告が必要です。

控除できる金額には上限があり、現地で支払った税金の全額が戻るわけではありませんが、二重の課税負担を軽減するための重要な手続きとなります。

4,NISA口座における注意点

非課税制度であるNISA(ニーサ)口座を利用して海外資産へ投資した場合、日本国内での課税(約20%)はゼロになりますが、海外で課税された外国源泉徴収分については、外国税額控除の適用を受けることができません

NISA口座の目的は「日本国内の税金を非課税にする」ことにあるため、二重課税の調整は対象外となる点に注意が必要です。

まとめ:投資信託を始めるには

  1. 目標を決める:

「何のために」「いつまでに」「いくら」必要なのかを明確にしましょう。

  1. 証券口座を開設する:

投資信託を購入するための証券会社の口座を開設しましょう。特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと、日本国内の税金計算・納税の手間が省けて便利です。ネット口座だと解説のハードルが下がります。

  1. 積立設定をする

毎月決まった日に、決まった金額を自動で購入する積立投資が、価格変動リスクを抑える初心者におすすめの方法です。

  1. 全世界・先進国から検討する

初めは安定性の高いファンドをメインに、慣れてきたら新興国ファンドも少しずつ取り入れてみるのが良いでしょう。

警告

本記事は投資に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品への勧誘を目的としたものではありません。投資信託を含む金融商品の取引においては、元本割れや損失が生じるリスクがあります。市場の動向、金利の変動、為替の変動、投資先の国の経済・政治情勢など、様々な要因により損失を被る可能性があります。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の内容に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者および提供元は一切の責任を負いません