はじめに

よく中小企業の経営者から相談を受ける話に「税金を減らしたい」「納税を抑えたい」というものがあります。おそらく巷では、税理士は、税金を安くしてくれる人という不名誉な認識があふれているのだと思います。

最終利益を出すのは簡単ではありません。
人を雇い、設備を整え、あらゆるリスクを取り、ようやく残った利益に対して税金がかかる。税金が安くなれば、商売に使えるお金が増えると考えている経営者が多いのでしょう。

しかし、現実としてはっきりしていることがあります。

納税をしないと、いつまで経っても体力のある会社にはなれないということです。

これは、決して精神論ではありません。企業が成長するための構造上の話なのです。

 

納税は、経営が順調な証である

まず、納税に疑問を持つ経営者に冷静に整理したいのは、税金は「売上」にかかるものではなく、「利益」にかかるという点です。

つまり、納税が発生しているという事実そのものが、

  • 事業として成り立っているから利益が出せている
  • 経営者として一定の水準に達している
  • 取引先や消費者から価値を認められている

という結果を示しているということです。

それにもかかわらず、
「税金を払うくらいなら、何か使ってしまおう」
「とにかく利益を出さないようにしよう」
という発想の会社の経営者は、納税の重要さを理解する前に、世間から姿を消しています。

実際、私は会計業界に入ってから30年以上になりますが、利益を多く出せる会社なのに、経営者が納税を回避しようと不必要な支出を多用し、気がついたら金融機関への返済ができなくなっていたという事例を幾度となく見てきました。

納税しない経営者が生む”慢性的な弱さ”

過度な節税や、納税回避を前提として経営を続けている会社には、共通することがあります。

  • 決算が近づくと、不要な経費を無理でも使う。例えば、売上に何ら貢献もしない高級車を購入する
  • 無駄なものを購入するから、キャッシュが残らず、常に資金繰りに追われている。
  • 設備投資や人材投資を先送りになってしまう。例えば、突発的に儲かったという理由だけで将来投資ではなく、温情だけで決算賞与を支給する。
  • 長期借入金の本数が多く、手許の現金預金が少ない。

一見すると「税金を抑えて賢く経営している」と思っている経営者もいるかもしれませんが、
実態は、利益を蓄積できない体質が経営者のご認識によって固定化しているだけです。

結果として、

  • いざという時にどこの金融機関も相手にしてくれない(資金調達できない)
  • 外部環境の変化に弱い(景気の変動に左右され余裕がない)
  • 成長のチャンスを掴めない(資金がなく目先の仕事を受注できない)

という状態に陥ります。

 

金融機関は「納税実績」を見ている

中小企業にとって資金調達をしようとした場合に重要なのが、金融機関からの評価です。

銀行は、決算書を見る際に
「いくら税金を払っているか」
「継続的に利益を出しているか」
を重視していますし、審査にあたっては一番重要な事柄です。

事業規模がそれなりに大きいのに、極端に税金が少ない会社は、
・利益が出ない会社(儲けるのが下手な会社)
・数字を操作している可能性がある会社(企業の実態と実際が釣り合わない会社で、金融機関にとって貸出リスクのある会社)
・将来の返済余力が不安定な会社(貸し倒れる危険性をはらむ会社)
と判断されやすくなります。

つまり、きちんと納税してこそ、一人前の会社で、納税こそ体力と誠実さの証明といえるのです。

優良企業ほど、納税を「前提」にしている

長く続いている会社、規模が拡大している会社、人が集まる会社には、共通点があります。

それは、
納税は、通過点であり、執着しないという経営者の感覚です。

このような考えの経営者は、

  • 利益が出たら税金を払うのは当たり前
  • 税引後でどれだけキャッシュを残せるかを考える
  • 手許キャッシュの内、どこまで次の成長戦略に投下できるか考える

という思考をもっています。

決して、無駄な税金を払うことはしませんが、無理に税金を抑えるようなことをしません。

 

納税は会社の”筋トレ”である

納税は辛いものです。
特に創業から事業が軌道に乗るまでの間は、納税がなければこんなにお金に苦労しないと考えることもあるでしょう。

しかし、私は納税を会社の筋トレだと考えています。

筋トレは負荷がかかりますが、
それを避け続ければ体は弱くなります。

同じように、

  • 利益を出し
  • 税金を払い
  • それでもキャッシュを残す

このサイクルを回すことで、会社の筋肉量は確実に増えていきます。

 

「払えない会社」から「払っても強い会社」へ

経営者が視点を「どうやって税金を払わないか」から「税金を払ってもなお強い会社をどう作るか」に切り替えたとき、経営の質と無限の可能性を会社は得ます。また経営者の世界観が一段上がることでしょう。

納税は、強い優良企業となるための通過点です。
そこから逃げ続ける限り、その会社が日の目を見ることはありません。

 

まとめ

納税は決して楽なものでありません。しかし、会社が社会の中で一定の役割を果たせている証拠です。

納税できる会社は、耐え、伸び、信用され、選ばれていきます。

納税を受け入れた先にあるものは、強靭な永続できる会社なのです。

 

小原正利

小原正利

新卒で東京都内の金融機関に就職し、安定した環境の中で経験を積みました。しかし次第に「もっとお客様の立場に近い仕事をしたい」という思いが芽生え、税理士を志すことを決意しました。
その後、仙台市内の会計事務所に転職。長時間労働や重責に追われながらも「お客様のために働く」という信念を大切にし、中小企業の税務・会計・事業運営の支援に情熱を注ぎました。在職中は専門学校・大学・大学院で学び、税理士資格を取得しています。
39歳からは仙台市内の大手不動産・建設会社に勤務、財務部門長として経営に携わる一方、休日に「小原正利税理士事務所」を開業し、土地建物オーナーや中小企業のお客様の支援に取り組んでまいりました。
50歳を迎え「残りの人生をどう生きるか」と悩む転機に直面し、東京都内の税理士法人に移籍、さらなる研鑽を積んだ後、独立に至りました。
令和7年1月からは、住み慣れた仙台に拠点を戻し「小原正利税理士・行政書士事務所」として再スタートを切りました。
相続・贈与をはじめとする各種税務申告、中小企業の事業支援を通じて、お客様一人ひとりの「豊かな未来を築く」ことを使命に、誠実かつ丁寧に寄り添うサービスを提供してまいります。

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